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タイトル:取締役の義務と責任について。その3
【2010年6月18日配信】
前回、前々回と、取締役の義務の中でも「基本中の基本」とでも言うべき「善管注意義務」と「忠実義務」について説明してきました。
しかしながら、この「善管注意義務」と「忠実義務」という取締役の義務は、「基本中の基本」であるがゆえに、観念的であり、抽象的とでも言うべき言葉でもあります。
ですので、今回からは、「善管注意義務」と「忠実義務」をより具体的にした取締役の義務について説明していくことにいたしましょう!
今回は、その中の「競業避止義務」について説明します。
取締役(以下、「役員」という)にとっての「競業」とは、
『役員をしている会社と同じ分野の仕事をする会社を設立したり、あるいは、同じ分野の仕事をする他社の役員になったりすること』
を指しており、「避止義務」というのは、それを禁止している、ということであります。
つまり、「競業避止義務」とは、会社の役員は、会社と同じ分野の仕事をする会社を設立したり、あるいは、同じ分野の仕事をする他社の役員になったりすることを原則として禁止】しているということです。
ちなみに、この「競業避止義務」の根拠法は、会社法の【第356条第1項】と【第356条第1項第1号】になります。
【原則として禁止】ということですから、当然に、「競業」が認められる場合もある、ということになります。
「競業」が認められる場合とは、設立した会社や役員になった会社の取引について重要な部分を本来の会社の株主総会(若しくは、取締役会)において開示し、その承認を得た場合です。
株主総会(若しくは、取締役会)の承認を得ることなく役員が勝手に競業を行って、本来の会社に損害を与えるようなことになった場合は、本来の会社は、その役員に対して損害を賠償させることができます。
では、その損害賠償の金額はどのように算定するのでしょうか?
会社法第423条第2項にはこのように規定されています。
『取締役又は執行役が第356条第1項の規定に違反して第356条第1項第1号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。』
つまり、役員が新しく設立した会社、又は、役員となった会社が取引上で得た利益を本来の会社が得るべき利益であったと推定して、その得た利益の額を損害賠償の額と見做す(みなす)ということです。
会社の取締役には、会社の利益を図るために忠実に働くという「忠実義務」が根底にあるわけですから、会社に損害を与えるような競業を行うことは忠実義務に違反していてとんでもない、ということになるわけです。
次回は、「取締役の義務と責任について。その4」という記事をお送りします。

