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タイトル:取締役の義務と責任について。その4
【2010年6月24日配信】
今回は、取締役の義務に関する「利益相反取引」について説明します。
前回のメルマガで説明した「競業」と同じように、取締役が「自己取引※」を行う場合は、株主総会(もしくは、取締役会)の承認を得なければならないと会社法において規定されております(会社法:第356条)。
(※取締役が、自己又は第三者のために行う会社間との取引のこと)
つまり、原則として禁止ということになります。
「自己取引」を原則として禁止しているのは、それが、「利益相反取引」になる危険性が高いからです。
「取締役の義務」という観点からみると、
『取締役には、利益相反取引をしてはならない義務がある』
ということになります。
では、そもそも、この「利益相反取引」とは、どのような行為なのでしょうか?
ウィキペディアでは「利益相反行為 (りえきそうはんこうい)」のことを、
『ある行為により、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為である。』
と説明しています。
したがって、会社における取締役の「利益相反行為(取引)」とは、取締役個人にとっては利益となる行為が、会社にとっては不利益になる行為ということになります。
取締役は、自己取引を比較的簡単に行える立場にあると言えます。
簡単に行えるがゆえに、とかく会社に不利益を及ぼしがちになります。
なので、その行為を株主総会(もしくは、取締役会)で管理しなければ、ということになっているのです。
それでは、「自己取引」にはどのようなものがあるのかという具体例と、それが「利益相反取引」になる可能性を見ていくことにしましょう。
具体例1:会社からお金を借りる。
【利益相反取引(会社にとって不利益)になる可能性】
1.著しく低い金利、もしくは、金利ゼロで借りる。
2.例えば、返済期日(期間)が100年先など、長期に渡って借りる。
3.返済期限が来ても返さない。
具体例2:会社にお金を貸し付ける。
【利益相反取引(会社にとって不利益)になる可能性】
1.著しく高い金利で貸し付ける。
具体例3:会社から土地を購入する。
【利益相反取引(会社にとって不利益)になる可能性】
1.相場より圧倒的に安い価格で購入する。
2.購入資金を会社に借金し、具体例1のようなことも考えられる。
具体例4:会社に土地を売る。
【利益相反取引(会社にとって不利益)になる可能性】
1.相場より圧倒的に高い価格で売り付ける。
2.まったく利用価値のない土地を売り付ける。
などなど、
このように、「自己取引」は、会社に不利益を及ぼす「利益相反取引」になる可能性が大きいため、会社法では「株主総会(または、取締役会)の承認を得なければならない」と定めているわけです。
そして、取締役が自己取引において会社に損害を与えたときは、株主総会(もしくは、取締役会)の承認を得ていない場合は、その自己取引を行った取締役自身が賠償責任を負うことになり、
また、承認を得ている場合は、承認の決議において賛成した取締役も賠償責任を負うことになります。
この「取締役には、利益相反取引をしてはならない義務がある」というのも、
「取締役は、会社の利益を図るために忠実に働かなければならない」
という『忠実義務』が根底となる義務と言うことが出来るのでしょう。
次回は、「取締役の義務と責任について。その5」という記事をお送りします。

